対話アプリのLINEは31日、仮想通貨の取引などを手掛ける金融子会社を設立したと発表した。LINEのアプリを経由して「ビットコイン」などの仮想通貨の売買をできるようにし、スマートフォン(スマホ)のアプリを使った決済サービスとも連動させる。コインチェック(東京・渋谷)の資金流出問題などの逆風もあるが、「中長期的にみると金融とITを結びつける『フィンテック』は市場拡大が続く」(PR室)と見て参入する。

ローンや保険販売も

ネットサービスと金融を結びつけ、消費者を囲い込もうとする動きが広がっている(LINEのロゴ)

設立した金融子会社「LINEフィナンシャル」の資本金は50億円。サービスの開始時期は未定だが、すでに金融庁に仮想通貨交換業の登録を申請しており、登録後に仮想通貨の売買のサービスを開始したい考えだ。新会社では仮想通貨に使われるブロックチェーン技術の開発のほか、ローンや保険などの金融商品の販売も手掛ける。

サービスの拡充に向けて金融企業との連携網を広げる。LINEは1月にインターネット証券のフォリオ(東京・千代田)と資本業務提携を結び、資産運用事業の準備を進めている。

ネットサービスと金融を結びつけ、消費者を囲い込もうとする動きが広がっている。楽天は野村ホールディングス傘下の朝日火災海上保険(東京・千代田)を買収すると発表した。フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は18年内にも仮想通貨での決済を導入する。

LINEの出沢剛社長は「スマホ決済のLINEペイを中心に、2018年に金融事業を大きく伸ばす」との方針を掲げている。仮想通貨への需要は高まっている一方、取引所大手のコインチェックから580億円相当の仮想通貨が流出した問題も生じている。LINEは対話アプリで培った個人認証やセキュリティー技術を生かす考えだ。

仮想通貨、LINEが参入「フィンテック拡大続く」