2008年11月、metzdowd.com に、全 9ページに及ぶ論文 が投稿されました。
この論文のタイトルは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:ピア・ツー・ピア電子キャッシュシステム)」
この論文 Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System の発表が、数年後の世界経済を激変させる「ビットコイン」の始まりであることを、ほとんどの人は当時予想すらできませんでした。
そして「このビットコイン論文を書いた ナカモトサトシ とは一体誰なのか?」はビットコインユーザーの中で長年神話となっていました。
・本当に実在する人物なのか?
・名前の通り日本人なのか?
・どこの国に住んでいるのか?
・個人ではなくチームで動いているのか?
不思議なことに、多くのビットコインユーザーはビットコインの生みの親であるナカモトサトシ氏のその後ろ姿すら見えていませんでした。
目次
ナカモトサトシを追いかける手段
ビットコインでは、ブロックチェーンを実行した人にマイニング報酬として 12.5BTC(2017年現在)を与えています。
そして、2009年に作られた最初の 1ブロック目(起源ブロック)はナカモトサトシ本人が制作し、マイニング報酬を受け取ったと言われています。
このビットコインを開発したナカモトサトシ氏には、世界中から多くの賞賛の声が集まっており、
95年から 2005年の間に「ビット・ゴールドシステム」を発表していたワシントン大学元教授のニック・サボ氏は、ビットコインを「世界への大きな貢献」と呼び、
暗号技術者であるハル・フィニー氏は、「潜在的に世界的を変化させた」と語っています。
また、ナカモトサトシ氏が保有するビットコイン量は全部で 100万BTC を超えると言われており、これは 2017年現在流通している全ビットコイン量の 6.6%、現在のレートで約 1200億円になっています。
ナカモトサトシは一人ではない?
ナカモトサトシ氏が誰かを調査する人々は少なからず存在しています。
そして彼らは、ナカモトサトシが個人ではなく、ある一定の集団やグループではないかと予想していました。
基本的にビットコインは開発チームによって運営されていますが、彼らがナカモトサトシ氏本人を知っているのか、接触できているのかの情報は公開されていません。
過去にビットコインの開発チームの一員だったハニアクズ氏は以前「サトシと思われる者と電子メールを交換しましたが、メール送信者がサトシ本人ではなく誰かがチェックししているような印象を受けました。」と発言しています。
ナカモトサトシ氏がWEB上で発言することはほとんどありませんが、2010年12月5日に「ビットコイン・ソフトウェアは徐々に成長し、強化される必要があります。私はビットコインを取り上げないようにウィキリークスに伝えます。ビットコインはまだまだ幼児期の小さなベータコミュニティです。」と発言し、その後、ナカモトサトシ氏はリード開発者の役割をアンダーセン氏に一任し、それから姿を消していきます。
ついにナカモトサトシ本人が登場か?
ナカモトサトシと連絡が取れなくなって5年後の 2015年10月にアメリカ・ラスベガスで開催されたビットコイン投資家カンファレンスで専門家を招いたパネルディスカッションが行われました。
このカンファレンスに登場したある一人のオーストラリア人起業家のクレイグ・スティーブン・ライト氏に注目が集まりました。
ビットコイン投資家カンファレンスの様子
クレイグ氏は、司会者に自己紹介を求められた際に自らを「誰も聞いたことがない分野の研究に携わっていた」と説明し、
続けて「プロトコルの設計を行ったり、まだ誰も可能と思っていないことに携わっていたり、えーっと……」と歯切れ悪く語っていました。
司会者が「ちょっと待ってください、あなたは誰なんですか?コンピューターサイエンティスト?マイナーですか?」と質問すると、クレイグ氏は、
「いろいろです。法学、統計学の修士号を取得していたり、博士号を取得している分野もあったり……ビットコインには長い期間にわたって関わってきました。いまでも続けています。あと……」とまたも歯切れが悪い。
このもの言いたげな様子に、クレイグ氏こそがサトシ・ナカモト本人ではないか?と考える人々が登場し、WEBメディア WIREDではクレイグ氏がナカモトサトシである証拠を集め、その内容を公開しています。
クレイグ氏がナカモトサトシである証拠
2008年8月、ビットコイン論文が発表される 3ヶ月前にクレイグ氏はブログにて、三式簿記の概念を用いた暗号通貨に関する記事を投稿していました。
また、2009年1月10日に投稿した記事でクレイグ氏は「ビットコインのベータ版が明日から開始します。これは分散化されているものです。これがうまく動作するまで私たちは努力を続けます。」と投稿、
この記事は 1月10日に投稿されていますが、時差を考慮して計算するとビットコイン公開日( 1月9日 )より以前に投稿された可能性が高いと言われています。
他にもクレイグ氏は 2008年6月に弁護士宛てに「P2Pで分散される元帳」の相談する手紙を送ったり、「ビットコイン銀行」の設立のために 23億円分のビットコインを投資していることが分かっています。
この金額は当時のレートから計算すると、全ビットコイン流通量の 1.5%にもなる莫大な量でした。(現在のレートで考えると価格は 100億円を超える)
もはやクレイグ氏が行ってきたビットコインを使った投資は「いちビットコインユーザー」としてはあまりに巨大なものでした。
クレイグ氏が行ってきた事実をまとめるだけでも
・ビットコイン論文発表前にブログでその内容を公開している。
・サトシナカモト氏とほぼ同じメールアドレスを所有している。
・ビットコイン論文公開前に弁護士にほぼ同じ内容のシステムの法律相談をしている。
・ビットコイン銀行へ約 100億円分の投資
などなど、クレイグ氏がナカモトサトシ氏である証拠、そうでなくてもナカモトサトシと近い関係にあることが分かります。
またアメリカの大手メディア BBC が、クレイグ氏がビットコイン開発の初期段階で作成された暗号キーを使い、デジタル署名を確認したと報道しています。
この時使用された暗号キーは、サトシ・ナカモトが「起源ブロック」のマイニング報酬として受け取ったビットコインを受け取っている人物の暗号キーであり「ナカモトサトシしか知らないはずの情報」をクレイグ氏が持っていることを証明しました。
この時クレイグ氏は「このブロックチェーンは、2009年1月にハル・フィンリー氏に10ビットコインを送った世界初のビットコイン取引の際に使われたものです」と語っています。
ハル・フィンリー氏は暗号技術における著名な人物であり、クレイグ氏の構想をビットコインとして形にする際に大きな役目を果たした人物として紹介しています。
クレイグ・ライト氏とはどんな人物か?
クレイグ氏は現在 44歳、オーストラリアでドモルガン株式会社の CEO を務めながら、情報セキュリティー専門家、に暗号開発・解析専門家などさまざまな顔を持っています。
クレイグ氏は過去に一度「私がナカモトサトシだ!」とブログで発言し、その後すぐに撤回。炎上騒ぎを起こした経歴があります。
そして昨年になってもう一度「私がナカモトサトシだ!」と再度発言を行なっています。
当時「なぜ今になって、もう一度ナカモトサトシ本人だと打ち開けたのか?」という質問に対して、
「言いたくて公開したわけじゃない。周りの環境がそうせざるを得ない状況になったからだ。」と意味深な発言をしています。また続けて、
「私は自分がビットコインの発明者であることを宣伝したいわけじゃない。ただ、何も言わないことで風評被害にあうのが嫌だったんだ。影響は私だけでなく、家族や私の社員にも振りかかる。否定的な感情を取り除きたかった。」と語っています。
またナカモトサトシ氏からビットコイン・リード開発者の役割を任せられたアンダーセン氏は「私はクレイグ氏がビットコインを発明した人物だと考えている。」と、彼のことをビットコイン開発に関わった人物だと発言しています。
現状、クレイグ氏がナカモトサトシ本人でなくても、ブロックチェーン開発において中心メンバー以上の立ち位置にいることは確定しています。
今後も彼の言動に注目が集まり続けるでしょう。
参照元:https://bittimes.net/news/1085.html