年末には1万5000ドル──業界からは超強気の予測が聞かれるビットコイン Dado Ruvic-REUTERS

<1万ドルを突破したビットコインの価格は、来年末は15万ドルもありえると、ビットコイン・アナリストの筆者は言う>

ビットコインのリサーチをしている関係上、筆者はよく一般の人に仮想通貨について何か知っているか聞いてみる。答えのほとんどは「知らない」か「犯罪取引に使う通貨でしょう?」のいずれかだった。だがそれも昨年までだ。今年は大きな変化が起きている。逆に質問される機会が増えた。「ビットコインはどうやって買うのか」「どこまで値上がりすると思うか」など。11月の末にビットコインの価格が初めて1万ドルを突破して、一般の人々も放っておけなくなったのだろう。

主流メディアもビットコインに注目し始めた。ビットコインが1万ドルの大台に乗ったという記事アクセス数が、北朝鮮が核兵器で米本土を攻撃するかもしれないという記事のアクセス数を上回ったのを見たときには思わず笑ってしまった。

ビットコインにとって2017年は最高の年だった。具体的に見てみよう。

2017年に入って価格が1000%上昇

ビットコインの価格は年初に963ドルだったが、11カ月で1000%も値上がりした。年初に1000ドルで購入したビットコインが1万ドルになったのだ。価格がここまで急騰したのは、仮想通貨全体に流れるカネの量が急増したからだ。

ビットコインを含むすべての仮想通貨の時価総額は、2017年初めの時点で180億ドル足らずだった。それが今は3000億ドルに膨れ上がり、ビットコインがその半分以上を占める。つまり2017年だけで、ビットコインを含む仮想通貨に2820億ドルが投資されたことになる。2820億ドルといえば、米ウォルト・ディズニーと動画配信大手ネットフリックスを両方買ってもまだ余る。仮想通貨全体の時価総額は、米銀大手シティバンクを回り、電気自動車のテスラの5倍以上だ。

それでも、世界有数のIT企業と比べれば、まだ足元にも及ばない。1兆ドル以上の時価総額を持つ世界の16の株式市場にも遠く及ばない。だが2018年にビットコインの価格がさらに1000%上昇すれば、状況は一変するはずだ。以下で理由を説明しよう。

仮想通貨の需要は急増中

サンフランシスコを拠点に世界最大の仮想通貨取引所を運営する米コインベースの口座数はすでに1200万人を超え、推定で1日に5~10万ずつ増え続けている。2018年に入れば、さらに増える見込みだ。

ニューヨークにある米仮想通貨取引所ジェミニでも、毎日数万単位で口座数が増えている。ジェミニを立ち上げたのは、フェイスブックのビジネスアイデアを盗まれたとして同社のマーク・ザッカーバーグCEOと法廷で争ったことで知られる双子のウィンクルボス兄弟だ。

米モバイル決済サービスのスクエアは11月、同社のアプリ「スクエア・キャッシュ」のベータ版として、一部ユーザーがビットコインを購入できるようにした。米決済サービス大手のペイパルがもうすぐ決済手段にビットコインを追加するという噂だ。

これら消費者向けサービスに導入されるようになれば、ビットコインはさらに身近な決済手段となり、使い勝手もよくなる。ただし2018年のビットコイン市場の成長を促す本当の原動力は、今ビットコインの先物取引や上場投資信託(ETF)に流れ込んでいる数十億ドルという投資マネーだ。

アメリカの2つの先物取引所は、今年中に、ビットコイン取引を開始する。米シカゴ・オプション取引所(CBOE)は12月10日から、CMEグループは12月18日からの予定だ。どちらがビットコイン先物取引の最大シェアを獲得するかで鎬を削ることになるだろう。しかも準備を進めるのはこの2社だけではない。ナスダック(米店頭市場)も2018年前半にビットコインの先物を上場する方針だ。

ビットコインの先物は巨額の取引

コインベースのような仮想通貨取引所のおかげでビットコインの売買はかなり楽になったが、実際には、現物の取引には多くの規制がついて回る。だが先物取引が始まれば、実際に現物を買ったり注意深く保管したりしなくても、機関投資家(要はヘッジファンド)がビットコイン市場に数十億の資金を投入できるようになる。

先物取引だけではない。ProShare、VanEck、ウィンクルボス兄弟のジェミニなどは皆、ビットコインのETFの販売を始めようと手ぐすねを引いている。3社は2017年、再三ビットコインのETFの認可申請を行ったが、投資家保護が不十分として米証券取引委員会(SEC)に拒否された。だが今後先物取引が開始されれば、SECもビットコインのETFを認可せざるを得なくなると、投資専門家は予想する。今の流れでいけば、ビットコインのETFは2018年前半にも実現可能だ。

ビットコインは発行数に上限がある

ビットコインの先物取引とETF取引が始まれば、従来はビットコインに否定的だった人々も、ビットコインは本物の価値があるデジタル通貨だと認めざるを得なくなるだろう。そして2018年も、ビットコインの価格が上昇するのは間違いない。この値上がりはバブルだと言う世界の中央銀行や主流メディアの意見が正しかったのかどうか、そのときにわかるだろう。

増刷が可能な紙幣や採掘できる石油や金とは違って、ビットコインは発行数に上限がある。特殊コンピューターを使ったビットコインの発行数が2100万個に達した時点で、新規発行は打ち止めになる。現時点ですでに1700万個近くが流通している。しかもビットコインを保管する財布の役目を果たす「ウォレット」を紛失したか、個人用の秘密鍵を忘れた所有者のせいで、最大500万個のビットコインが行方不明になっている。発行数の上限は近い。

需要が増えるほど価格は高騰する

2017年並みとはいかなくとも、2018年もビットコインの勢いは止まらないだろう。消費者でも簡単にビットコイン取引ができる方法が普及すれば、数十億ドルのビットコインを持つ企業や機関投資家も、多くの新ビジネスを見つけられるようになるはずだ。

筆者の予測では、2017年の大晦日までにビットコインの価格は1万5000ドル近くまで上昇する。2018年の大晦日までには、最高15万ドルもあるとみている。より重要な点として、2017年は中流層が辛うじて数個のビットコインを購入できる最後の年になるだろうということだ。2018年末になれば、ビットコインの所有者は富裕層か初期からの保有者くらいになるだろう。

(翻訳:河原里香)

筆者は、ビットコイン専門のリサーチ会社CryptosRus.comのオーナー。

International Business Timesより

2017年は中流でもビットコインを買える最後の年になる!?