ビットコインの今後を左右する、いわゆる「スケーラビリティ」問題が相場の焦点になっている。

 ビットコインが決済方法として広く普及するには、処理能力を上げてネットワークを「スケール(規模)化」することが不可欠だ。その方法をめぐって対立してきたのがセグウィット2x分岐案を推し進めていたブロックサイズ引き上げ派と、ビットコインのコア開発者たちだ。

 今回この対立が、ビットコインとビットコインキャッシュの暴騰暴落劇を引き起こした。

 現在ビットコインが直面する課題について、イーサリアムの元CEOで、香港に本拠をおくブロックチェーン関連企業であるインプット・アウトプット香港の代表を務めるチャールズ・ホスキンソン氏は次のように語っている。

ビットコインは今「自分探し」を行っている。情熱とお金をもつ沢山の優秀な人がビットコインの今後のかたちをはっきりと提案している。一方では摩擦や分裂を引き起こしているものの、異なった思想が存在を許されたり市場原理による競争が行われている、という意味ではよいことだ。これは混乱というよりも、ビットコイン自体が成熟してきたあかしだ。どんなエコシステムでも、全ての人を満足させることはできない。だからこそ、(ビットコインの)エコシステムもオープンソースのソフト開発プロジェクトのように、蓄積されてきた価値とそれを裏付けるコミュニティーをこわさずに分裂することを学ばなくてはならない。

ビットコインキャッシュの暴騰は典型的な「あおり」戦略によるもの

アルトコインにとって、煽られて暴騰した後すぐ暴落するパターンは日常茶飯事のことだ。資金力がある投資家にとって、取引量も時価総額も低いコインの値動きを操作することは比較的簡単だからだ。サンフランシスコ在住のブロックチェーン起業家であるクマール・ゴラフ氏はビットコインキャッシュについて次のように述べている。

600ドルから2400ドルまでの急激な値上がりの後30分で1300ドルまで売り込まれた一連の激しい値動きは、煽って買いあがった後売り込むという市場操作の典型的手口だ。仮想通貨市場はFX市場に比べてまだまだ小さいため、そういった操作が簡単にできてしまう。だから現在の値動きをもって、ビットコインが勝つのか、ビットコインキャッシュが勝つのかを予測することはできない。

また同氏は、ビットコインはビットコインキャッシュに比べ成熟しているとした。

ビットコインキャッシュに比べ、ビットコインは既に難しい局面を何度も乗り切っている。着実に値上がりしていくパターンを形成している中で、今回のような下落は今年7月や9月にもおこっており、暫時的なものだ。だからすぐに8000ドルに向かって上がっていくだろう。一方でビットキャッシュは新しく、長期的に伸びていくものなのか、アルトコインにありがちな市場操作の局面にあるのか、判断することはできない。

ビットコインは4500ドル以上で推移することができればまた伸びていくと思う。投資家はビットコインキャッシュにビットコインほどの利点、コミュニティーからの支持、そして普及例がないことに気づいているからだ。

ビットコインとビットコインキャッシュは共存できる

幸いにも、広い仮想通貨の世界において両方の「ビットコイン」は共存していくだろう。そして更なる分岐や通貨バリエーションがうまれる可能性も排除できない。これが仮想通貨というものなのだ。前述のホスキンソン氏によると、

ビットコインキャッシュはビットコインを脅かしているわけでも、ビットコイン追随者からの支援を必要としているわけでもないから、生産的な分岐だったと思う。ビットコインは小さなブロックでやっていくというビジョンを提示してもよいし、ビットコインキャッシュは大きなブロックサイズでやっていくというビジョンを持っていてよい。結局は各々の自由だ。長期的には、お互いが消えていなくなることはないと気づいて喧嘩をやめることが望ましい。イーサリアムとイーサリアムクラシックが良い例だ。

参照元:https://jp.cointelegraph.com/news/a-tale-of-two-bitcoins-where-bitcoin-bitcoin-cash-are-headed

米識者「ビットコインとビットコインキャッシュは共存できる」暴騰暴落の裏でビットコインに成熟の兆し