市川海老蔵さんがSNS上でビットコイン購入を明らかに。筆者は「お、やるな」と率直に思いましたが、最近のBTCは「株の代わり」に変化している点には注意も必要です。
逃避先から、株の代わりへ。ビットコインの変化が示唆するもの
海老蔵さんも購入、存在感を増すビットコイン
成田屋、いえ梨園の至宝・市川海老蔵さんがビットコインを買ったとSNS上で表明しています。「お、やるな」と率直に思いました。興味があることを試すって、ホント「言うは易く行うは難し」です。
同時に、ビットコインが段々と一般的になってきたことを感じます。金融緩和競争、世界的なおカネのバラマキに対する回避先、また経済の厳しいアフリカでの通貨の代替手段など、「おカネの代わり」として注目を集めた時期を経て、ビットコインは変化しつつあるようです。
「おカネの代わり」から「株の代わり」へ
ということで、ビットコインの値動きを示すチャートをみると、夏以降は日経平均株価と似た動きであることに気付きます。世界的な株高の中での日本株高なので、単にビットコインと株価は似た動きをしている、とも言えます。
「おカネの代わり」であれば、意識されるのは金相場です。しかし今は「株の代わり」です。「回避行動」から「積極的なリスク選好」へとビットコイン投資への性格が変化しています。
株価との連動がもたらす2つの問題点
ここに来て、米国株の上昇が一服、日本株も先週末から乱高下です。合わせてビットコイン価格も15%ほど下落しています。これ、2つの点でよろしくない現象です。
1つは「資金逃避先」が失われたという点です。金とは異なり、持ち運び不要なビットコインは資産保全にも場所を取らず、普及の仕方次第ではとても便利な存在です。しかし形はなくても投機先としての性格が強くなってしまっては、逃避先としての役割も果たせません。
2つめは「同じような値動きをする資産が増えた」という点です。資産運用では「分散投資が大切」と言われます。1つの資産にばかり投資していると、その資産価格が急落した場合、運用自体が破綻してしまいます。分散はそんな破綻を避ける目的があります。
しかし、すべての資産が同じ値動きとなってしまっては「分散効果」は得られません。ビットコインに限らず、信用度の低い社債や新興国債、はたまた優先株などの動きもすでに株と同じ様な感じで値を上げています。世界の金融市場で「分散効果」が得難くなってきているのです。その流れを象徴する存在としてビットコインが挙げられるようになりつつあります。
ビットコインは「リスクオン」時に買われやすい商品へ
リーマン危機以降、「リスクオン、リスクオフ」という表現が目立つようになりました。「株高」ならば「債券安(金利上昇)」「信用度の低い債券価格上昇」などのように値動きが単純化される現象です。
今日でも「リスクオン、リスクオフ」を目にする機会が少なからずあります。これは、今の金融市場でも「分散効果」は得難いということを示唆しています。
そして、「リスクオン」時に買われやすい商品としてビットコインも組み入れられようとしています。成田屋の「にらみ」が市場を落ち着かせてくれれば良いのですが…。
しばらく値動きの荒い状態が続きそうです。低格付け社債やREIT(不動産投資信託)など、ややマイナーな資産の動きが気になります。鉄火場に弱い資産保有は、今は不適格です。
今回のまとめ
- ビットコインの一般的な認知度は上がりつつある
- ビットコインは、株と時を同じくして高値から調整
- 資産の分散効果が効かない局面に入りつつあるのでは?
参照元:http://www.mag2.com/p/money/334511